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子どもたちの未来を育てる、知の交流拠点。 ~阿波市立土成図書館~ Part 1

エントランスホール/中の様子が見えるガラス張り の入り口が、来館者を招き入れる。


2020年4月、「阿波市立土成図書館」がリニューアルオープンしました。旧建物では2階にあった「土成中央公民館」が、図書館と共用エリアでつながる平屋の複合施設となり、新たな「知の交流拠点」として期待されています。
その誕生の経緯と役割について計画に携われた皆さまに(Part 1&2)、設計の特徴については阿波設計事務所の皆さまに(Part 3)お話をうかがいました。


阿波市 土成支所長 伊坂 好史 氏【中央】 阿波市教育委員会 社会教育課 課長補佐 酒巻 美香 氏【右】 阿波市立土成図書館 副館長 海部 由香 氏【左】


図書館と公民館を併設した、複合施設として誕生


 2005年に4町が合併して発足した阿波市ですが、合併前にはそれぞれの町に図書館があり、土成図書館は1974年に建設された鉄筋コンクリート造2階建ての建物に、公民館と階を分けて入っていました。40年以上を経て老朽化が著しく、蔵書数や学習機能も確保できていない状況を受け、2018年に立ち上ったのが2つの施設を併せた複合施設の計画です。
計画立案にあたっては、若手の職員でプロジェクトチームを発足し、整備方針や設計に関する基本構想を策定。(1)子育て世代に利用してもらえる施設(2)高齢者や障がいのある方など、誰もが安心して利用できる施設(3)市民が集い、やすらぐ空間のある施設という、3つの設計コンセプトを提示しました。


入ってすぐのカウンター前は、子どもの興味を引く展示コーナーや児童書の書架が並ぶ児童エリアとなっている。


 これを受け完成した複合施設は、図書館と公民館が同じフロアでつながる構造で、エントランス前のホールを共用エリアに位置付け、カフェコーナーを設置。子育て世代のための授乳室を新たに設け、おむつ交換台や調乳用の給湯器を備えました。
 共用エリアに面した図書館の入り口はガラス張りにし、外から中の様子が見えるようにして来館者を招き入れます。カウンター前のスペースには丸い展示台を設けて興味を喚起。子育て世代が利用しやすいよう、入り口近くに絵本や児童書を配置し、読み聞かせのキッズコーナーとともに「子どもたちの図書館」をアピールしています。
 また、館内にはくつろぎながら気楽に本が読めるためのソファやイス・テーブルも随所に設置され、大人にとっても快適な知的空間を創出しています。


館内には気楽に読書ができるソファやイス・テーブルが設置され、快適な環境を整備。


一般エリアのカウンター席からは窓越しに芝生のガーデンが眺められる

三木武夫元総理大臣の就任記念樹を臨むテラス席


阿波市立土成図書館(土成中央公民館併設)
所在地:徳島県
施主:阿波市
設計:株式会社阿波設計事務所
延床面積:1,432.9m2
開架書庫:60,500冊
閉架書庫:17,270冊


Part 2はこちらから


Part 3はこちらから



「SCENE 103」2020年12月発刊より


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