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事例紹介:小城市民図書館三日月館
こどもが喜び暮らしにとけ込む図書館
日曜日のおだやかな午後、本を手に思い思いの時間を過ごす親子。暮らしの中に図書館がとけ込んだ、自然な情景が広がっていた。
利用される図書館の誕生
1996年、生涯学習センターとの複合施設として開館した三日月町図書館。2005年、市町村合併により小城市民図書館三日月館となった後も、これまでの15年間、市民の知的自由と生涯学習を支え、憩いと交流の場として親しまれてきた。
年によっては、人口一人あたりの貸出冊数が20冊を超えるなど、読書活動を推進してきた同館。着実な実績を支えてきたのが平湯モデルである。
人が集まる雰囲気づくり
市民のために始まった図書館づくり。まず、だれもが訪れやすく、親しめる図書館が目指された。
平湯モデルは、書架やテーブルにスチールや石油化学製品は一切使わず、木製品を用いる。それも自然の風合いをできるだけ生かしているため、館内はやさしく、ぬくもりが感じられる。居心地のいい空間に、自然と人が集まるようになり、アットホームな図書館が地域に根ざしていった。
開放感と本のあふれる開架エリア
木のぬくもりとともに、館内を印象づけるのが開放的な開架エリア。広々とした空間に、視線をさえぎらない高さの書架が並ぶ。その見通しの良さは格別で、本が探しやすく、サービスと管理も行きとどく。
そして、あふれるように配架された本に読書意欲が喚起される。開館時、3万6千冊だった蔵書数は、9万冊の予定を超え、現在、12万冊弱にまで膨らみ、市民の読書要求に応え続けている。
見て探す楽しみのある書架
展示性に富んでいるのも、平湯モデルの書架ならでは。絵本など、表紙が楽しい本は、できるだけ表紙を見せて配架してあり、眺めているだけで思わず手が伸びてしてしまう。
長く続けられた湾曲絵本架や、S字にレイアウトされた床置絵本架は、書架の動きに合わせて、探す楽しみも演出されている。児童図書の多い同館では、目当ての来館者も多いという。
市民をつなぐ運営
運営面では、各コーナーの展示内容が毎月更新されるなど、本を読みたくなるような展示が積極的に行われている。また、定期的に催しも開かれ、交流の場としても有効に活用されている。
このほか、市内の学校との支援事業も推進し、「出前おはなし会」や「夏休み宿題応援講座」、「一日図書館職員体験」など、多彩なプログラムも組まれている。
コミュニティの核として、日常に溶け込んだ図書館。15年の歳月を重ね、市民交流の中心を担っている。
小城市民図書館三日月館
佐賀県小城市
人口 小城市 46,109 人(三日月町 13,828 人)
1996 年開館
開架面積 742 ㎡
蔵書数
一般書 約7 万2 千冊
児童書 約3 万5 千冊
年間利用者数 約3 万1千人
三日月町人口一人あたりの年間貸出冊数 12.2 冊
( 平成 25 年度末実績)
「こどもが変わる 学校が変わる 図書館づくり 第2版」2014年10月発刊より