研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.012


奄美の徳之島町立図書館がオープンしました。

◎奄美諸島は、1609年の薩摩侵攻まで沖縄と同じ琉球国だったところで、珊瑚礁に囲まれた亜熱帯の美しい島々です。沖縄と分かれて400年にもなるのに、文化もことばも人情もふしぎなほど沖縄といっしょです。
 10時に、太鼓に三線、指笛で始まった落成式は、午後の祝賀会まで、子どもも年寄りも、町をあげてのさながら郷土芸能大会です。
 あすの元ちとせを期待させる、小学生、中学生たちの島歌に、最前席の町長さん、議長さんから、集まった300名の参列者がみな飲み食いもおしゃべりも一切やめて聴き入っているのは感動ものでした。そして最後は、沖縄ではカチャーシイ、奄美では六調です。図書館長さんも社会教育課長さんも、次々とステージにかけのぼって踊りました。



 こんなわけで、開館は翌日。館内は終日利用者であふれて、初日の貸出し1208冊。旧館の10日分以上を1日で貸出したということです。館長さんはじめ、町役場の関係者も図書員も、いい図書館をつくろうと懸命になられ、勿論大変なこともいっぱいありましたが、結果は、町長さんはじめ、子どもたちまで大満足で、ほんとによかったと思いました。開館準備でも、私のプランの趣旨を十分館員の皆さんに伝えられるよう、館長さんが配慮してくださったことはありがたいことでした。その上全島の学校司書と図書館担当の先生方に、住民の方たちも加えた研修会を、できたばかりの館内をまわりながらできるよう計画してくださったことも嬉しいことでした。
参加者の中から、せっかくだから、私たちの学校図書館もぜひ見てほしいという要望も出て、最終日の半日は、3校を訪ねることになりました。児童数10名の小学校にも、ほんとに学校司書がいるのです。あらためて奄美が鹿児島県であることを思いました。

◎帰りは、鹿児島空港まで迎えてもらって宮崎県A町を訪ねました。準備室の方たちに、内装に入ったA町立図書館の中に入って、できあがりをイメージしていただいて、家具のつめをするためにです。いつものことながら、このイメージしていただくことがなかなかむずかしいことです。

◎月末には、結婚式で広島へ。お墓参りなどなども果たし、最後は、久しぶりになつかしい古本屋へ。地方の古本屋が次々と荒れ果てていくなかで、ますます健在の昔なじみの2店につい長居して、ずっしりと買いこんでしまいました。

◎「研究所だより」は、今月でちょうど1年になります。試しに始めたもので、「楽しみにしています」といってくださる方もありますが、見なおしのときかと思います。お声をおきかせください。



この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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