平湯文夫の研究所だより No.005
知事自ら「知の立国」をとなえる鳥取行きのことなど
9月9日付「読売新聞」全国版1頁全面をつかった「知的立国、図書館から―先進県・鳥取片山知事に聞く」など学校図書館でめざましい鳥取県鳥取市に招かれました。
知事もりっぱなら、全国規模の「本の学校」などを開いて意欲的な永井書店会長も、県教育委員として学校図書館の充実に懸命です。
小中学校の司書配置はおろか、高校の司書まで正職員から臨採に切りかえるうごきのあるところさえあるのに、知事自ら率先して給与をけずり、県職員全員の給与を平均5%ずつをカットして、全県立高校の学校司書を全国公募で有資格正職員に切りかえ、12学級以上にこだわらず、県下の全小中学校に司書教諭を配置(辞令)するなどの、めざましさです。
こういう知事自らの積極的なとりくみの中で、鳥取市をはじめ、県下の各自治体でも、学校司書の配置が臨採ながら急速に進んでいます。その鳥取県の県都鳥取市の小学校司書の方たちの自主研修に招かれたのです。
日曜日の自主研修というのに、ほとんど全員、それどころか、車で2時間以上もかかる米子市や境港市をはじめいくつもの町からも参加があり圧倒されるほどでした。
午前中は3校を全員で訪ねて、実地に「学校図書館を生きかえらせる」研修会。午後は講演と質疑。鳥取県は全国をリードする県になるぞと実感しました。
この鳥取への行き道、岡山駅で大学を出たばかりで町の図書館づくりにとりくもうとする女性に会いました。岡山県の山奥の二つの過疎の町に今計画されている複合施設の中の図書室があまりにおざなりなのでなんとかしたい、手を貸してほしいという手紙や電話でのいちずな申出に、これは手伝ってあげなければと思いました。この思いは、あるいは実現させることができるかもしれないし、この人生最初のチャレンジに存分にとりくめるか、ただ挫折に終るかは、人一人の生き方を決めることだと思ったからです。
軽い昼食をとりながらの2時間はあっというまにすぎて、しっかりした手ごたえをえました。
鳥取のあとは、さそわれながらとりまぎれていた奈良吉野地方へ。以前手伝ったこども図書館などのいくつかを訪ねて、やはり、純粋でいちずな人たちに熱い歓迎をうけ、みちたりて帰路につきました。
「長崎県図書館活動推進大会」にも久しぶりに招かれました。大会のテーマは「公共図書館と学校図書館の連携」。講演の題目も同じ。まさに時宜をえたテーマ設定で、私がリタイア後やることとして、整理してしぼりこんだいくつかのテーマ中の一つです。このテーマで依頼されたことを嬉しく思いました。ただ、連携は、連携すべき公共図書館と学校図書館の両者の実体があって考えられることで、まだ3分の2の自治体に公共図書館そのものが存在せず、ほとんどの学校図書館に学校司書のいない本県の実状の中では、実は連携のしようもないこと。
そこで、近年のわが国の公共図書館と学校図書館のめざましい進展の様子をスライドを見ていただき、みごとに連携の進んだ自治体のいくつかを紹介しました。
下旬には、「平湯モデル図書館家具普及グループ」3社に参加してもらい、この夏改修した北九州・佐賀・長崎の3校の学校図書館など見学しながらの3日間の研修会をもちました。