研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.90


神戸大学附属小学校図書館の改修にとりかかっています。

 改修中の神戸大附属小の図書館。このキャンパスで最高の建物をそっくり学校図書館にしてしまおうという思いがりっぱです。期待しています。

 昨年からとりかかっている現場を初めて訪ね、副校長先生にもお会いしました。阪神大震災にもびくともしなかった戦前からの文化財的講堂をそっくり図書館にするというのです。全国から馳せ参じて教えを乞うたという、教育史にも著名な石井平治主事(校長)思い入れの講堂をそっくり図書館にするという心意気にぜひたずねたいと思っていたのです。
 都道府県内の全小中学校を指導する立場にある、教育学部付属校の図書館が、どこも、人も施設もあまりにもひどいのが理解に苦しむところでしたが、先年からの筑波大の附属小につづいてやっと動き出したかという感じです。副校長先生(教育学部付属では実質上の校長)も待っておられて現場を案内していただきながら、平湯モデルしかないと、とり入れていただいたような話をうかがい嬉しくなりました。しばらくかかりますが完成が楽しみです。


翌日は大子連(大阪府子ども文庫連絡協議会)の講演会に参加しました。

 石井桃子、村岡花子、松居直、松岡享子と、子どもの本に生きた人たちの本やドラマが相ついでいます。その道一筋にかっちりと生きぬいた松岡さんもまたほんとに美しい。

 大子連とは、日本一市民運動の盛んな大阪で(近隣からも参加)、まず子ども文庫をつくって、公共図書館をつくり、今、学校図書館づくりに懸命な団体です。その大阪でも、文庫づくりと図書館づくりと学校図書館づくりの先頭を歩んできた豊中市のその中心となってこられた安達さんと教育長さん自らも講師というのですから、参加しました。午前、午後にわたって大勢集まり、大変な熱気でした。この人たちは、子ども文庫づくりから、全国の状況、これからの展望など、実によく勉強しておいでです。全国の教育委員会では、これらのことをほとんど知らず、勉強しようともせず、司書配置にとりくんでいるところが少なくないように思います。それでは、せっかくの司書配置が十分生かされるはずがないのが残念です。


旧友と親族たちと、それぞれ、久しぶりの1日ずつを過ごしました。

 学校図書館関係者で毎年、一夜、雲仙に集まる機会を使って、一日目の昼間は高校の学友と、二日目は親族たちと、久しぶりに親しく1日ずつを郷里の島原半島で過ごしました。
 学友は、ずっとつづけてきた家業をやっと息子さんに譲ってほっとしたように見えました。車にのらない私を、「今日は、昔のなつかしいところなどどこへでも行くよ」と墓掃除もいっしょにやってくれました。
 親族たちとは、互いに知らなかった一族の話など教えあったり、私の父のゆかりのところなど案内してもらったり、最後は、遠い長崎の家までみんなして送ってくれました。みんなとても喜んでくれたように思いました。自分のことに追われてつき合いの悪かった分、つぐないをしている気分です。


佐賀県玄海町の小中学校図書館の据えつけが終わりました。

 小中2校ずつ、全町1校に統合しての図書館です。気になるところもありますが、すてきな図書館になりそうで、4月開校が楽しみです。

『生資料で見る九州・沖縄図書館づくり運動史』の編集にとりかかりました。

 気ばかり多く、日暮れて道遠し。とりかかることばかり多く、その内いくつ仕上がるのか、恥ずかしいかぎりです。首尾よくできあがるまで、あと2年ばかり元気だったら万々歳なのですが、さて。がむしゃらにやってきて、書いたり集めたりした厖大な資料などをなんとか残したかった一念に、仲間の励ましで暮からとりかかることにしたのです。もし完成させることができたら、眺めているうちに読みはまるようなものになりそうなのですが。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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