研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.84


愛知県など東海地区大学図書館協会総会でお話をしました。

 先日の学校事務の方たちにもそうですが、大学図書館の方たちにも何10年ぶりかのお話です。この40年ほど、日本の大学図書館は急成長してきましたが、一方、ITへの傾斜はいちじるしく、私が思いつづける図書館からはかなり離れていくと思ってきました。
 「図書館には、過去を究めようとするものや、最先端の科学、技術を追い求めるものなどいろいろあると思いますが、私の図書館論は、図書館利用者の底辺を広げること、それも、図書館の施設を優しくすることでそれを果たそうとするものです」と語りはじめました。
 参加者は、80名ほど、その多くは男女図書館員の方たちでしたが、名古屋大学の図書館長さんはじめ、大方の方たちが、私の、利用者に優しい、魅力的な本のあふれる平湯モデル図書館のスライドショーに見入っていただいたようで、心地よい1時間半をすごしました。
 終わったあと近寄ってきて、ひとことずつ感想を寄せてくださった方たちも、いつになく多かったように思いました。私の話は、大学図書館員の方々の日常業務にも、また研修会等でも、出会うことのないもので、新鮮だったといったようなことで、大変嬉しいことでした。「飲みながら先生と語りたい」と言ってくださった方もありました。


第30回学図研熊本大会で、いきなり「先生、いくつになりました?」ときかれました。

 久しぶりに会った若い学校司書です。「ウン十歳よ。せめて70歳ぐらいには見られたいと、こんな平湯モデルカラーのTシャツに、サンダルなどはいてるんだけど、むりよね」。「いいや。見えます。見えます」。「ほんと? 嬉しい。内心は笑ってるんじゃない」。「そんなことありません」。
 大会は、420名も集まって、内容も充実していました。なつかしい人たちにもたくさん会いました。終了後、熊本県の学校司書Aさんたちと、できたばかりの城東図書館を訪ねました。旧熊本市内で、駅前のプラザ図書館につぐ二つ目の分館です。長崎市で、分館のことを考えている人などいるのでしょうか。


ランガナタンの図書館学の5法則

 今回の学図研大会のこの売品は秀逸でした。飛ぶように売れて、手にさげている人もたく さん見ました。大会名入りのクリアフォルダーなどを売っているのはよく見かけますが、安直です。
 1つ500円で自分用もですが、お土産用に5個10個買ってもこれ以上のものはなかなかないでしょう。
 売っているところで、「だれの発案ですか」ときくと、「みんなでつくりました」ということでした。それはちがう。だれが思いついたかが大切です。(そのあとももちろん大変)。
 あとで発案者にちがいない人に出会いました。教わった先生の訳が、この訳とちがっていたところをいくつもあげたからです。「それをずっと覚えてたんだ。すごい!」。ランガナタンもこの人もすごい。
 これから、ずっと売りつづけてください。


インドネシアへ日本語教材を送る事業が滞っています。

 いざ始めるとなると、関税のことなどいくつかクリアしなければならないことがあります。昨年、ジャカルタでお会いした、日本とインドネシアを行き来して、両国のあいだでいろいろいいことができるよう仕事をしておられるB氏とお会いし、インドネシア大使館も訪ねて、相談にのっていただきました。
 名古屋から熊本へ飛び、つづけて東京へ飛んだので7日の旅になりかなりつかれました。


乙女心を初めて理解してあげられたかなと思いました。

 中学生の孫娘が、いっしょにでかけるとき、ちょっとすてきなサンダルを取り出すそぶりに何かを感じました。「いいサンダル持ってるじゃない」「これ一つだけよ」。おしゃれへのめざめを感じました。「もう一つ買ってあげようか」「いいよ」。「自分の好きなのを買いなさい」とお金をあげました。(乙)女心を理解してあげたのは、これが初めてかもしれないと思いました。今生に、し残したことがいっぱいあります。


長崎市立小中学校の改修、3年目の4校も見ちがえるように生まれ変わりました。

 東西南北4地区の各1校に9名ずつの司書があつまり、用務員さんたちの協力もえて、ほんとうに楽しそうに熱心にとりくみました。3年目で10校が終わりました。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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