平湯文夫の研究所だより No.101
国立国会図書館とは、やはりすごい人がいるところかもしれません。
国会図書館では、初代金森徳次郎館長のあとは、衆参両院事務総長の国務大臣待遇による天下りが続いていたのが、数年前やっとくずれて、3年前だったか、初めて、国会図書館生えぬきの方が館長になったという話をききました。その年の全国図書館大会の折の夜の懇親会だったか、その館長さんが私の前に歩み寄ってこられて、ていねいに挨拶されたのには驚いて恐縮しました。
今年の大会の懇親会では、私の方から、一人になられる機会をとらえて挨拶しました。する とすぐ「長崎市立図書館はどうですか」とたずねられ、つづけて、「郷土資料はどうですか」とたずねられたのにはどきりとしました。ずぼし、ねらいの定まった質問だったからです。県庁所在地で唯一PFI(設計、施工から運営まで民間委託)になった長崎市立図書館のことを、そのまた肝心の郷土資料のことを、私のいきなりの挨拶に、とっさにたずねられたことに、驚いたのです。この方は、日本中の図書館の、肝心要(かなめ)の重要な問題に目くばりしておられるのかもしれないと思いました。
もう一つ、ずっと国会図書館員で、大学でも教えておられた石山洋氏が昨年出された『源流から辿る近代図書館―日本図書館史話』も、やはり国会図書館員だったことのりっぱさを感じさせるものです。タイトルどおり、公共、大学等の図書館から日本図書館協会、図書館学者のことまでの源流を維新前から辿ったものです。とりわけ、源流だけでなく、中小レポートから日野の開館、東京都図書館振興策、児童サービスまで、しっかり関心をもちつづけておられたことに敬服しました。もう30数年も前、私が『琉球新報』に「沖縄戦を体験した沖縄の人たちこそ、図書館の大切さを知っているはず」というようなことを書いたのを読んだ石山氏がすぐ、「そのとおり」と言われたことを思い出します。
1970年の全国図書館大会で、「戦後25年たって、沖縄県立図書館の蔵書はわずかに17,000冊である。沖縄へ本を贈ろう」と訴えたのも、当時の国会図書館副館長の酒井悌氏でした。 この50年ほどで、日本の図書館はめざましく発展しました。一方、図書館員に、子どもの本のことや貸出しを増やすことの先まで関心も持たない人がふえてないか気になっています。中小レポートや日野以来、貸出や児童奉仕を重視しつづけてきて、日本の公共図書館をここまで発展させてきた裏目が、今、出てきてしまっていることはないでしょうか。3人の国会図書館員の話に関心をもっていただけると嬉しいです。
『生きかえらせるシリーズ』を、5冊以上半額に、10冊以上3分の1 にしました。
送料共1冊900円を、5冊以上450円に、10冊以上300円にと、超格安にしました。久しぶりにていねいに読み返してみて、我ながら、図書館を施設面から生きかえらせる方法を、実に明快に書きつくしている。なんとしても広く読んでもらいたいと思ったからです。もう一つは、今のところ、健康ですが、歳が歳ですから、廊下いっぱい積みあげている自費出版の印刷物を、残したまま倒れたのではもったいないと思ったからです。
それに、実は、『カラーパネル篇』の残部がなくなって、千部、増刷しようとしたら、印刷代が、1割加えるだけで2千部できることをあらためてつきつけられたのです。ということは、2千部印刷すると1部単価がほとんど半額になるということです。そんなことは、とっくに知っていたから、これまで2千部以下印刷したことはありませんでした。私の自費出版が驚くほど安いヒミツはそんなことを知りつくしていたからです。そんな、あれやこれやで、これまでの「なんとか採算ベースで」というのもやめて、超格安にしたというわけです。
ちなみに、『カラーパネル篇』が1万5千部、『図書館家具絵物語篇』が6千部、『3千円から3万円でできる学校図書館の手づくり改修法』を4千部印刷して、それぞれに売れてきました。
『図書館員を志す人へ』は1万7千部です。これは、従来どおり1部送料共500円、5部以上200円です。中央の出版社で出されたものでも、図書館関係の本で、これだけ売れたものは皆無に近いはずです。
百年もの老舗図書館専門メーカーのブランドの中で、日本の西の果てで1人でやってきた平湯モデルの図書館を、全国に広めていくのは容易ではありませんが、それでもおかげさまで、確実に浸透しつつあることを感じますし、熱烈な平湯モデルファンに出会うようにもなりました。
そんなわけで、総カラーで、50頁から60頁もある、内容のびっしりつまった『生きかえらせるシリーズ』 3冊を、できれば、10冊以上、申し込んでいただいて、お仲間に広めていただけると嬉しいというわけです。
<入手方法>
ファックスか電話で下記に申し込んでいただく と、郵便振替用紙(赤)も同封してお送りします。
Tel&Fax 095-844-8270 平 湯 文 夫
ご注文いただいた方で、埼玉福祉や愛知の印刷物も欲しい方には、無料で同封します。