研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.051


鹿児島の保育所や市立図書館や檜の集成材をつくる部材工場などをまわる。

 鹿児島にできた保育所の絵本の部屋第一号を訪ねる。園長さんも子どもたちも大喜びで嬉しい。新たに、一教室分もありそうな、広いりっぱな子ども図書館のプランも頼まれて楽しみ。
 なんとか楽しい図書館に改修したいという市立図書館も訪ねる。午前中、役所のご意向もきかせていただいたあと、1時間ほど図書館も見せていただいて、2000万円もかけたらすっかりすてきな図書館に生まれ変わるプランができてしまった。午後からは、住民の方たちも集まっていただいて、スライドショーをやりながら、どんなに改修するかをお話しする。プランは明快で、よく分かっていただいたようだし、これは実現しそうで楽しみ。
 これまで、図書館家具の中心となる書架は貼りものでつくってきたのを、県産材の檜の集成材でできないかと、部材工場なども訪ねて可能性をさぐった。かなり前から考えていて実現できなかったことで、これができると、かなり安くで、やさしい檜の家具ができそうで楽しみ。


岡山・久米南町図書館創立10周年記念式典に招かれる。

 図書館づくりを手つだったところの方たちが、いつまでも親しくしてくださるのはなにより嬉しい。この久米南の図書館員の方たちは、全国図書館大会では、参加者名簿を見て、広い会場を私の分科会までわざわざ来てくださったり、図書館を訪ねると、勤務日でない方まで会いにきてくださったり、ほんとに嬉しい。そして、今回の開館10周年にはごていねいにご招待いただいて、感謝状まで戴いてしまった。人口当たり貸出し冊数など連続県内トップ。
 会場になった2階の文化会館ホールの色調がなんとも優しくすてきなので、建設時に担当なさった方に、「外観はじめ全館の色調がなんともすてきですね」というと、「桜材とピンクで図書館を決めていただいたのに全館をあわせたのです」と言ってくださった。全館こんな色調の建築は珍しいと思う。市民や子どもたちの感性と設計事務所の感性とはどこでも相容れない。


同じ私学で相ついで2度目の図書館プランを依頼される。

 今月に入って、かつて改修プランを依頼された私学から、今度は新築のプランを頼まれて嬉しく思っていたところへ、ひきつづいて、関西の、かつて依頼された同じ私学からまた新築のプランの話があった。おそらく全国最大規模。上京の帰りに訪ねて第一案を提案。お手伝いできると嬉しい。


有山たかし生誕100周年記念集会で前川恒雄さんの講演をきく。

 近年、公の場で話されることはないときいていた前川さんが、「有山さんのことなら」とひきうけられたときいて、これは前川さんのお話をきける最後かもしれないと、なんとしてもとでかけることにした。
 『移動図書館ひまわり号』、と『「中小都市における共公図書館の運営」の成立とその時代』を読み直す。
 共にずっと九州・沖縄の図書館づくりをやってきた87歳の伊藤松彦さんを誘おうと三鷹の自宅を訪ねたが、大事をとって再会を喜ぶだけにした。
 主催者に「図書館員を志す人へ」の販売をお願いして90部完売。


 久しぶりに読み返して、あらためてすごい本だと思う。そして、利用者もボランティアも含めて図書館にかかわる人で読んでいない人が多いのに驚くことが多い。本はたくさん 読めばいいものではない。ほんものを鋭く見 抜いて選び、とことん読み込むことだと思う。  同じ著者の『われらの図書館』もぜひ。共に筑摩書房刊。ちなみに、同じ著者のかくれたベストセラー『図書館員を志す人へ』もぜひ。私のところへ電話かファックスで申し込んでいただけば、5冊以上なら送料共1部200円。 T&F 095-844-8270




この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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