研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.044

日野市立高幡館  玄関を入るなり全館の蔵書が迫ってくるこの図書館を久しぶりに訪ねて、平湯モデルのレイアウトの演出法はこんなところに学んできたのだと思ったことでした。


日本の果て与那国島にまで図書館をつくろうという研修会に出かけました。

 この30年間に70回も訪ねた沖縄に、今回はめずらしく4年ぶりに訪ねました。沖縄県内に41ある自治体のうち、まだ未設置の19自治体にも図書館をつくろうという、沖縄県と県立図書館による企画の、1年間つづく研修会に招かれたのです。日本の西の果て、台湾の見える与那国島や、沖縄の北の果て伊平屋島からの研修生もおいででした。
 与那国島へは20数年前、日本の果ての図書館状況調査で訪ねたことがあります。たまたま開かれていた教育委員会で、この島に図書館が大切なことや図書館づくりを手伝いたいことを話したこと、今度はいよいよほんとに手伝いたいということなど話しました。伊平屋島へは行ったことはないけれど、ほんとに訪ねたいこと、そして、遊休施設を活用したりした、お金をかけないすてきな図書館づくりのノウハウを提供したいことなども話しました。


片山総務大臣の住民生活に光をそそぐ交付金による図書館改修も

 この基金で図書館を大きく改修しようというところにも、鹿児島と熊本に出かけました。ほんとに楽しい仕事です。平湯モデルの家具とプランのノウハウさえあれば確実に全くちがう魅力的な図書館に生まれ変わらせることができるのですから――。


工業高校のインテリア科の生徒の協力で生まれ変わった図書館にも

 中学校には、技術室がありますが、工業高校でインテリア科のあるところには、その生徒たちと先生がいて、りっぱな木工実習室があります。この協力がえられたら、図書館は容易に甦りますし、その生徒たちの教育にもなるはずです。そのとおりりっぱに甦った高校図書館も訪ねました。そのほか、今月訪ねた学校図書館は7校、それぞれにがんばっていました。

私の図書館の原点、日野図書館も20年ぶりに訪ねました。

 出張の折、40歳代に、毎年、図書館コースの学生たちをつれて歩いたコースをたどってみました。中央線の豊田駅で降りて中央図書館へ。そこから南へ歩いて20分、京王線の平山城址公園駅前の平山図書館へ。そこから京王線にのって二つ目高幡不動駅で降りて5分の高幡図書館を訪ねました。研修旅行では、これに高幡台団地のブックモビルのステーションを加えた4つの中から、本館、分館、BMのステーションの3つを選んで一日かけて見学していました。館長さんも、一日相手してくださいました。前川恒雄さんの「イギリス留学と日野図書館創設のころ」という特別講義が加わったこともあります。
 2年生のゴールデンウィークが終わった頃の3泊4日で、国会図書館、都立中央、福音館、三水舎製本所、東販、クレヨンハウス、三省堂本店、神田の古本街を。題して「図書館システムと出版流通を見る」。これだけ自分の目で見せないで図書館に送り出すことは考えられませんでした。若くて一途だったからできたことです。この経験をよく生かしてすてきな図書館員になってくれた卒業生もけっこういます。会ったとき思い出話をしてくれるのは嬉しいことです。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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