研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.041


「ひたち野うしく小学校」―ご覧のように、公立の小中学校では見たこともないほど、すっきりと美しい、木をたっぷり使ったすばらしい小学校です。その中央の玄関を入ったところに、これも恐らく全国に例のない広い、平湯モデルのすてきな図書館ができました。住井すゑが『橋のない川』を書きつづけた茨城県牛久市です。


平湯モデル普及の新しい仲間たちと図書館めぐりをしました。

 この便りの9月号でお知らせしたうごきの準備のためです。北は茨城県から南は長崎まで。4日間、7館ほどの学校図書館と公共図書館を訪ねました。その日は休みの司書の方まで、私に会うためだけに図書館へきていただくなど、どこも大歓迎だったのがなによりです。司書の方はもとより、係の先生も校長先生も館長さんも、教育長さんも、平湯モデルをとり入れたこと、そしてそこで働いていることの喜びを熱っぽく話してくださいました。
 「ひたち野うしく小」の図書館は、「えほんとおはなしのコーナー」だけでもご覧のようにたっぷり広い。調べ学習のエリアには、国語や社会など文系の資料を集めたところと、理科や家庭科など理系の資料を集めたところとそれぞれに1クラスが入れるところがあり、合わせて同時に3クラスが利用できるようになっています。学校図書館計画の最大の問題点である広さの問題をなんとかクリアーした学校図書館として、ぜひ参考にしていただきたいところです。
 私は加われませんでしたが、東京八王子の東京純心女子中学校は、調べ学習で図書館を使うことで全国で先端グループを走るところです。
 岡山県の久米南町図書館は、昨秋の「山陽新聞」でも、「人口一人当たりの蔵書数、貸出し冊数、利用者登録率共に県内トップ」と大きく報じられたところです。正月の掲示や展示がダイナミックですばらしかった。他館もそれぞれにすばらしかった。
 いっしょに訪ねた新しい仲間たちにも、どの図書館も、よそのどこにも見られないいいものがあると見ていただいたようだし、なにより、訪ねる館ごとに歓迎していただいたことで、これからいっしょにやっていくに値するものだと見ていただけたのではないかと思った。
 一方また、ほんとにいいものをつくるのは、並ひととおりのことではできないことを、現場で実物にあたりながら話せたこともよかったと思う。ひとがつくったもうかりそうなものだけを選んで仕入れて売る、いわゆる販社ではなく、世界に求められるレベルのものをすべて自ら開発してきた人たちだからきっと分かっていただけたと思う。


えほんとお話のコーナーも十分に広い。


岡山県の久米南町立図書館は、掲示の折り 紙(上)もトトロ(下)も、型破りの大きいものですてきでした。



この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


研究室だよりの目次へ戻る




関連するエントリー

最新のエントリー

エントリー一覧へ >