平湯文夫の研究所だより No.032
全国各地で小中学校への司書配置が進んでいます。
今年は国民読書年。子どもの読書についての法整備も次々ととのえられ、学校教育の場での「朝読」も着実に広がっていく中にあって、子どもの読書について、いちばん理解がおそいのは学校現場の先生方だと思わせられることが多いのは、なんともやりきれません。それでも、学校図書館が、しっかり前進しはじめたと思わせる元気のでるニュースもつづきます。
学校図書館でいちばん大切な、人の問題では、すでに、学校司書が配置されているところが多かった高校で後退しているのはやりきれませんが、小中学校の司書配置は、全国各地の先進地で確実に進んでいます。関心のあられる方はぜひ、『全国の学校図書館に人を!の夢と運動をつなぐ情報誌 ぱっちわーく』という長い名前の月刊紙をぜひ購読してください。(FAX 0827-43-0831 梅本恵 300円)
わが長崎県でもそれは確かです。人の問題で、県都として前進を阻んでいた長崎市でも、昨年度から4名が、それもかけもちなしというりっぱさでスタートしました。今年はさらに佐世保市でも、従来の4名の実績がしっかり評価されて一挙に10名がプラスされ、島原市でも10名プラスと嬉しいニュースがつづいています。
決して良い条件ではありませんが、ここまできたら、長崎県も流れができたといえるでしょう。流れのできた都道府県がいくつもあるように思います。最初の1人をつくりだすにも流れをつくるにも、各地のうごきを知ることは不可欠です。ぜひ『ぱっちわーく』を。
全国各地に学校図書館支援センターづくりが進んでいます。
今、図書館界最先端のトレンドの一つは、学校図書館と公立図書館を一体化することだと思っています。旧浦和市や豊中市などで始められたものが広がり、4年前からの文科省の補助事業で勢いがついてきたように思えます。
殊に、学校図書館で、これまでにきわだった実績をもつ人が、この仕事の中心になっておられるところもいくつもあってたのもしいかぎりです。
広く知られたところでは、千葉県市川市の教育センターにあって、市川市全体の小中学校へのバックアップをなさってきた小林路子さんや山形県鶴岡市立朝 第一小学校で司書として大変な実績をあげられた五十嵐絹子さんが、それぞれ、退職なさって、全市的な仕事にとりくんでおられます。
そういった中、九州のA県では、行政では限界がありすぎるので、民間の活力で、モデル学校図書館をつくってしまい、施設、家具からディスプレイ、選書、整理、装備等々まで、さらには、研修室から学校図書館の手づくり改修の工作室までつくれないものかと、懸命にとりくんでいるところまであります。
公立学校のさまざまな限界を越えたところで、モデル学校図書館がつくられること、そして、ほんとにひどい図書館施設を、財政上どうすることもできない現状の中で、手づくりで改修できる工具や工作台や木材までそろえた工作室がもし実現できたら!それは大変魅力です。
既に予告しました「3千円から3万円でできる学校図書館の改修法」を増補した『図書館家具絵物語』がやっと5月に刊行できます。ご活用ください。全頁カラーで送料共5冊わずか3千円です。(1冊なら千円)