研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.029


 あけましておめでとうございます。今年もよろしく。
毎月末アップの「研究所だより」なので年頭の挨拶が今頃に なりました。


恐らく施設では、国公立で一番の小学校図書館ができました。

 住井すゑさんが『橋のない川』を書きつづけた茨城県牛久市に、昨年暮、新設竣工しました。4年前にできた立命館小のが私学でいちばんなら、こちらは国公立でいちばんでしょう。
 今年は、5月に福岡県大木町に、古い建物を平湯モデルですっかり生まれ変わらせた町立図書館が開館するなど、この2,3年、存分にとりくませていただいた公立図書館や学校図書館が、いくつかつづけて開館しそうで楽しみです。


奄美の沖永良部島和泊町の学校図書館全6校を訪ねました。

 沖永良部島の電照菊や百合は空輸されて本土の花屋さんの店頭を飾っています。奄美群島は沖縄にま近い亜熱帯の島々で、この和泊町は、10年ほど前、3日をかけて、当時の喜坂和泊町立図書館長さんにひきまわされて、町立図書館と全6校の小中学校を訪ねたことがありましたが、今回は、4日をかけました。昨年、はまってしまった手づくりによって改修しようというとりくみです。町立図書館員も学校図書館員も校長先生も父母もいっしょに勉強し、作業したのですからすごいと思います。とにかく沖縄と奄美は本土とちがいます。さらによくなっていくのが楽しみです。
 これまで親しくしていただいてきた方たちを訪ねたりもして、充実した4日間でした。
 町をあげて学校図書館に熱心なところですが、あらかじめ送っていただいた写真を見て驚きました。全校に学校司書がいるとはいえ、全6校揃って、ディスプレイも手づくりもすばらしいのです。

 ちなみに、この奄美群島は、昔、沖縄と共に琉球国でした。それが、今からちょうど400年前の1609年、徳川幕府が始まってまもなく、薩摩侵攻によって薩摩藩に併合されました。同時に侵攻された沖縄本島以南は、同じく併合されながらも、中国に支配されているように装わせていました。いつだったか、沖縄の人と奄美の人が、私たち九州人にも全くわからないそれぞれの方言で話ができたのに驚いたことがありましたが、高校野球で奄美の人たちが、鹿児島勢より沖縄勢を応援するというのも、やはり血のせいでしょうか。とにかく400年前まで同じ琉球国だったのです。図書館計画を手伝った沖縄の具志川中学校の落成式も奄美の徳之島町立図書館の落成式にも驚きました。地域をあげて祝い、図書館長さんも校長先生もステージにあがって踊りまくるのです。
 帰路、鹿児島空港で降りて一泊し、合併する町を訪ねて、公民館図書室を分館に改修するプランの説明をしました。これも今年中には実現しそうで楽しみです。


「コノ木ナンノ木気ニナル木・・・」はこれを撮ったものではないかと思わせる日本一のガジュマルの木の前で。沖永良部島の北端に ある国頭(くにがみ)小学校図書館で手づくり家具の実習を終えたところで。


 奥深くて高すぎる書架をみごとに生かした立体的なディスプレイ。城ヶ丘中学校図書館。


内城小学校図書館での研修風景


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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